「おつかれさとみ!」
「あ!ゆういちさんお疲れ様です。」
「今日もさとみ絶好調だったね!」
「いやそんなことなくて、」
「なんかあったの?」
「きょうお客さんとのやり取りでこんなことがあって」
「あの~すみません!」
「はい!如何なさいましたか?」
「このステーキって、どこ産なの?」
「すみません!私には分からないです!」
「・・・、あっ!そぅ!じゃあいいや」
「終始最高の笑顔で対応したんですけど、
なんだかお客さん、満足していない感じがして…」
「いや、そんなことないんじゃない!さとみが笑顔で対応したなら絶対満足してるって!
大丈夫!大丈夫!」
不安そうなさとみを前に、無理くり気持ちを上げる言葉を投げかけた!
そんなやり取りを見ていた店長が、
「さとみ、ゆういちの言っている通り、さとみの笑顔はお客様に届いているよ!
大丈夫!大丈夫!ただ、どんなに接客態度がよくても使う言葉で誤解されることがあることを覚えておくと良いかもね!」
「ご、ごかいですか?」
「そう!誤解!」
「店長、どんな言葉を使うと、お客さんに誤解されるんですか?教えて下さいよ~!」
わたしは前のめりに店長に聞いた!
「二人とも、営業終わりで疲れているだろうから、今日は1つだけ教えてあげるね!」
「はい!」
「言葉の語尾が“ない”で終わる人」
「ない!ですか?」
「例えば、今日のさとみとお客様のやりとり」
「ステーキはどこ産なの?」
「わかりません」
「要するに、これはお客様に、『私はわからない』と伝えているんだよね」
「確かに!」
「だから、このケースも”ない”で終わっていることになるんだ!」
「そういえば、この前の、かつあきとお客さんでこんなやり取りもあったな!」
「すみません~!トマトの入っていないサラダってないの?」
「トマトの入っていないサラダは無いです!」
「あちゃ~!」
「二人ともこのかつあきとお客さんのやり取りを聞いて、どう感じた?」
「う~ん!言っていることは正しんだけど、なんか、もやもやする感じがします。」
「そうだよね! なんか感じ悪いイメージだよね。サービスする気があんまり伝わらないというか…、 じゃあどうすればよいか!わかるかな?」
さとみが間髪入れずに
「ない!で終わらないようにする!」
「いやいや、そのままじゃん!」
っと思わずツッコもうとしたら、店長が
「半分正解!じゃあ、”ない”を使わない為にどうすればよかったかな?」
「なにかを提案すればよかったんじゃないですか?」
「さとみ凄い!その通りだよ!今日のさとみのお客様だったら」
「これどこ産?」
「すみません!私では分かりかねるので、確認してきます」
かつあきのシーンであれば
「トマトが入っていないサラダはないの?」
「トマトが入っていないサラダは無いのですが、よろしければトマトを抜いてお持ちしましょうか?」
“ない”で終わりにせず!
お客様のニーズを聞きながら、お客様に寄り添って、
代替え案を出す!
これが出来れば、より一層お客様が喜んでくれるはずだよ!
「確かに! “ない”で終わらず、代替え案を出す!ですね!」
「よ~し! 明日から“ない”禁止で頑張ろう!」
「はい!頑張ります!」
マニュアル接客から、一歩お客様に踏み込んだサービスが出来るようになった、きっかけとなった一件であった!
◆学びポイント
・「ない」で終わらさない
・代替え案を出す
次話はこちらから
コメント