営業後の楽屋での出来事。
「今日も皆頑張ってくれたな。お疲れさん!」店長が皆に話しかける。
「ただ何だか、楽屋が少し汚くなってきたなぁ。たしか今月はかつあきが楽屋掃除担当じゃなかったっけ?」
慌てて、かつあきが「あ、あ…そうです。俺が担当なんです!ちょうど、今日さとみにも手伝って貰って、二人でやろう!って話してたんです!」
さとみが「え!?そんな話、聞いてないんですけど!」
「いや、そこは普通空気を読むとことでしょ!」とかつあきが心の声ではなく、口に出してしまっていた。うちのお店では、アルバイトに月1回持ち回りで楽屋掃除を実施してもらっていた。もちろん時給はもらえるが、かつあきは掃除が苦手であった。
さとみが「そういえば、かつあきさん今日、トイレ掃除サボったでしょ!私が代わりにやっといてあげたんだから!」すかさず店長が、「さとみ、それは流石だなぁ、ありがとう!」ほら、かつあきも、ちゃんとお礼をして、
しぶしぶ、かつあきが「あ、ありがとう!」
「ところでなんでトイレ掃除を徹底させるか知っているか?」店長が皆に質問を投げかける。かつあきは、「そんなの知ってますよ!トイレはお店の中で1番汚いと思われている場所。だから、その汚いであろう場所がめちゃくちゃ綺麗だと、そのほかの場所は当然もっと綺麗だろうと、お客様は思う!逆にトイレが汚いと、その他の場所も汚いんじゃないか?と思う。だから、一番汚いであろうと思われる、トイレをピカピカにするんですよね!」
さとみが「かつあきさん、そんなに完璧に答えられるんだったら、トイレ掃除ちゃんとやって下さいよ!」
店長も相槌をうちながら「さとみの言うとおりだな!」
「わかってます。次回からは必ずやりますから、今日の所は許してよ!ね、さとみ!」
「今みんな、かつあきのトイレ掃除宣言聞いたからな!明日からはしっかりと頼むぞ!」
「そういえば、せっかくだから、みんな窓割れ理論って知ってる?」
「なんですか?窓割れ理論って?」
「割れ窓理論」とは? 1枚の割られた窓ガラスをそのままにしていると、さらに割られる窓ガラスが増えるという理論なんだ!」
「これ何が関係あるんですか?」
「関係大あり、例えば、そこら中に、ゴミが沢山落ちている場所に、ごみを落としてしまったら、拾うかな?」
「え、いや・・拾わないかも」
「じゃあ、床にゴミ一つ落ちていない、レストランにゴミを落としてしまったら、そのままにするかな?」
「それは、拾いますよ!」かつあきとさとみが声を揃えて言う。
「なんか気まずいですもん。」
「だよね!要は、汚い場所は、汚いが当たり前になり、更に汚くなっていっても、それが普通になる。逆に、綺麗な場所は、汚くなるのが目立つ為、綺麗にしようと意識が働くんだ!
だから、お客様の目に見えない場所もきれいに保つ!トイレの神様っていう曲が流行っただろう!本当にトイレには神様がいるんだよ!だから、常に綺麗にしないと!頼むぞかつあき!」
「っと言う事で、さくっと皆で楽屋掃除やっちゃおうか!」
「まじっすか、店長もゆういちさんもさとみも、みんな優しすぎる!皆でやればすぐ終わりますもんね。じゃあ皆さん頑張りましょう!」
ってお前が言うな(笑)
この一件から、フロアにゴミが落ちていたら自然と、皆が拾うようになった。このような些細な意識の積み重ねが、お店を綺麗に維持することに繋がるんだろうなぁっと実感した出来事であった。
◆学びポイント
・トイレの神様
・窓割れ理論
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