店長からの教え~期待値を超える~

店長からの教え

「ゆ~いちさ~ん!」
「どうした、かつあき、甘い声だして!」
仕事終わりのスタッフルームでかつあきが話し出した…。
「いや~来月、彼女の誕生日で、何したらいいか悩んでるんですけど、ゆういちさん相談のってくださいよ!」
「俺なんかより、ここはやっぱり女性に聞くのが1番でしょ!ねぇさとみ!」
「私ですか?私だったら、やっぱりディズニーランドでデートして、帰り際にシンデレラ城の前で、プレゼント渡される~♪みたいな、うふふぅ」
妄想モードに入ったサトミだった
「やっぱりディズニーが鉄板ですよね!でも、なんでディズニーランドってそんなに、みんな行きたがるんだろう!他にもテーマ―パークは沢山あるのに?」
「確かに!」
「ディズニーって、行った時はもちろん楽しいんだけど、行く前からウキウキしない?
なんか遠足を楽しみにしている子供みたいに、1週間前ぐらいから、あと1週間だ、あと3日だ、明日だ・・・みたいな!」
「かつあき!流石!いい所に気づくなぁ!」
「え…て、てんちょう!いたんですか?」
「かつあきが入ってくる前からずっといたよ!」
「ま、まじっすか!?」
店長には聞かれたくなかったようで、かつあきは焦りながら、話を変えようとしたが、すかさず店長が話し出す!
「例えば、子供の遠足!子供たちは遠足と聞くだけで、『楽しみ!』となる。」
これは、以前に、”遠足”を経験し、その時に『楽しい体験』をしたという、記憶が残っているからなんだぁ!」
「だから、飲食店だって、ディズニーランドだって、以前に『ここに来てよかった!』という経験を、お客様に記憶させることが出来れば、そこの場所にまた行こう!となるし、また行こうとなると、ウキウキするわけなんだぁ!」
「じゃあ、なんで”ウキウキ””ワクワク”するんだと思う?」
「また、楽しい体験ができる!って思ってるからじゃないですか?」
「その通り!さすがかつあき!言い換えるなら【期待】しているからなんだぁ!
期待値が高ければ、高いほど、”ウキウキ””ワクワク”するんだよ!」
「期待値!? ですか?」
「そう!期待値! 例えば、

  • ディズニーランドと公園
  • 高級レストランと近くの定食屋
  • 海外旅行と近場の日帰り旅行


だったら、前者の方がなんだか、ワクワクしない?」
「確かに!」
「期待値は、人の価値観によるものだから、一概に絶対ではないけれど、前者の方がワクワクするよね!」
「そして、ディズニーランドは、この”期待値”を常に超え続けているから、また行きたい!という声に溢れているんだよ!」
とドヤ顔をしている店長がおもむろに、バックからノートを取り出し、メモ紙を見せてくれた。そこには、期待値を超えるとどうなるかが、書いてあった!

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「店長これ、なんとなくは分かるんですけど、どういうことですか?」
「しょうがないな…、じゃあ分かりやすく説明するね!

まずは、人がものを買うとき、旅行に行くとき、ご飯を食べに行くとき、すべてにおいて知らず知らずに“期待値”というものを持っているんだ!
その期待値通りであれば、人は”満足”する。逆に“期待値”よりも下回れば、不満足になる!ここまでは分かるかな?」
「はい!ばっちりです!」
「じゃあ、いきなり質問だが、3日前の夜ご飯何食べた?」
「え!?これなにか、関係あるんですか?」
「いいから!いいから!何食べた?」
「えっと、セブンの弁当だったかなぁ…」
「かつあきさん違いますよ!3日前は、バイト終わりに皆でファミレス行ったじゃないですか!かつあきさんとんかつご膳食べてましたよ!」
「あ~~、そうだったっけ!ごめん、ごめん! さとみよく覚えてるなぁ…」
「かつあき残念だったな! 人は忘れる生き物なんだぁ!」
「確かに、そうですね!でもこれ何が関係あるんですか?」
「凄く関係あるよ! だって人は忘れる生き物なんだから!」
「どういうことですか?」
「じゃあ今度はみんなに質問、飲食店にリピートしない理由の第1位ってなんだか知ってる?」
「これからは“人消費”になるって店長が言っていたから、やっぱりスタッフの態度が悪い店じゃないですか?」
「いやーゆういちさん、やっぱりなんだかんだ言って、味でしょ!」
「私は、すごく汚いお店がいやだなぁ」
「みんな、不正解!」
「え!? マジですか!」
「色々な理由はあるかとおもうが、リピートしない理由の1位は
なんとなく!なんだ!」
「な、なんとなく、って何ですか?」
「その通り、何となくだよ!さっきも伝えただろう!人は忘れる生き物なんだ、だから、期待値通りのサービスを提供しても、お客様は満足してくれるけれども、その満足は、日が進むにつれて、忘れてしまうものなんだぁ!」
「なるほど! そう言う事か?」
「だから、ディズニーランドは、期待値を超える感動ではなく、期待値を大きく超える感激でもなく、期待値を大幅に超える感謝をゲストに与え続けているんだよ!」
うちのお店でも、たまにあるだろう、お客様から、『ありがとう!またくるよ!』って感謝の言葉をもらうこと!」
「あ!私今日、新規のお客様から、ありがとう!あなたの笑顔をみて元気になった!って言ってもらいました!」
「流石、さとみ素晴らしい! お客様から感謝されるお店!すなわち『ありがとう』が溢れるお店!
これこそが、最高のお店なんだと私は思っているんだ!」

「なるほどねぇ! ありがとうが溢れるお店かぁ!確かにそんなお店になったら、ディズニーランドみたいに、リピーターさんが溢れるお店になりますね!」
「ちょっと、ちょっと、すんげーいい話聞けたんですけど、結局おれの彼女の誕生日はどうすればいいんですかね?」
「だから、彼女の期待値を大幅に超えればいいんだよ!」
「だからそれって、どうすれば…」
「いい事思いついた!」サトミが大きな声を上げた
「まず、ディズニーランドでデートして、その帰りにうちのお店に来てディナー、私達でスペシャルステーキとスペシャルケーキを用意してもてなすよ! そしてその帰りに、プレゼントでノックアウト!
プレゼントは何がいいか、リサーチして置いてね!」
「さとみ案!めっちゃいいじゃん!」
店長が回りを見渡し
「よし、そうと決まったら、かつあき!しっかりと稼がないとあかんな!という事で、今月、ばっちりシフト入れておくから、頑張ろうな!」
「え…まじっすか! まぁ!彼女のためにがんばるか・・・!」

何気ない、かつあきの相談から、また一つ勉強になった!
【ありがとう!が溢れるお店】こんなお店を創れたら、面白いなぁっと!
この時はまだ、軽い感じに捉えていたが、この出来事が転機となり、お客様から「ありがとう」と言われることを意識し始めたのだった!

◆学びポイント

期待値を超える

次話は、こちらから

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